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最終的な2つの形について

私が考えているカードワースシナリオの最終的な二つの形について書きます。

以前……といってもかなり昔のことですが、記事をひとつ書きました。「物語に『人』が存在しなかったらどうなるか」という内容のものです。

話を続ける前に、まず二つの私が持っている概念の説明をします。動的な物語世界と静的な物語世界についてです。

以前の記事で、「石」をどう書くかという話をしました。私が示した例の、前述した方法が静的な物語世界で、後述したほうが動的な物語世界だと思ってください。あるいは探索シナリオで、たとえば私の「蜘蛛退治」で、探索したときに出てくる森の描写、炭鉱の描写は、静的な物語世界です。私の読み物シナリオは動的な物語世界です。カードワースで一般的に支持を得ているシナリオは、圧倒的に静的な物語世界が多く見られる傾向があります。一報ですばらしい読み物シナリオには動的な世界構築の試みが多く見られます。

簡単に言いますと、世界が物語を作り出すのが動的。世界が何もせずに傍観していたり、書割だったりするのが静的です。

閑話休題。

カードワースのシナリオは、結局のところ、PCをどう見るかということに尽きてしまうと私は考えています。なぜなら、シナリオ世界において、PCというものは異質な存在だからです。作者はどうやってこいつらを扱うか、それによってシナリオの質も違ってきます。

物語を書きたい、シナリオ内で、動的な物語世界を作りたい(静的な物語世界ではなく)と考えている人はPCを世界に巻き込んでNPCのような扱いにするか、あるいは動きの基点をNPC任せにして後ろをついていかせるか、どちらかという方法をとります。それ以外の方法をとって世界を動かしている作品は見たことがない。私の場合は、ある程度のプレイヤーの介在は認めるが、PCはやはりNPCに近い存在になっていきます。

世界を作りたい、遊べるゲームが作りたい、やり応えのある探索をやりたい、と考えている作者は、ここにはある程度の差はありますが、大体が静的な描写を多くして、PCによってプレイヤーが世界に触れるような構造になっています。PCを積極的に動かすというより、PCに道を提示して、プレイヤーがコントロールするように持っていくという方法が多く見られます。

私はPCについてプレイヤーの介在を許す方法を「PC制御が弱い」と呼びます。つまり、作者がPCの動きに対して責任を負っていないということですね。逆に作者ががっちりPCを導いてしまう方法を「PC制御が強い」と呼んでいます。

ここで、世界はPCの周りに作られているので、あるいは世界にPCが含まれているので、PC制御が強いことと動的な物語世界は強くリンクしています。動的な物語世界を作るためにPC制御を強くする。あるいはPC制御が強いので、世界が動的な方法で書かれる。

私が考えるシナリオの二つの型は
1.動的世界の中のPC制御が強いシナリオ
2.静的世界の中のPC制御が弱いシナリオ
この二つです。

もちろん、作者の個性とか、美意識とか、作品を成り立たせている力、あるいは作品自体の完成度といったことについては個々に見ていくしかないから、そこまではカバーできないけど、「ものを作る」という面から見れば十分な指標になると思ってます。

では、分類してみましょう。
動的世界であり、PC制御が強いシナリオ。これは私のシナリオの修正版「匙男」を挙げさせてもらいます。私のシナリオはある程度までプレイヤーの存在を認めるものが多いですが、このシナリオだけは、PCは完全に物語の中心世界にいます。
または私が尊敬する作者である圭さんの「現実」というシナリオを挙げます。大体これでわかってもらえるかな?

静的世界であり、PC制御が弱いシナリオ。これはすばらしい例があります。twofiveさんの「亡者の詩」というシナリオです。特に後半の探索部は、私が考える型が完成したシナリオ像に非常に近いものです。つまり、PCは彷徨って、その「場」に静的な描写を加えていく。
ただ、物語というものは動きがなければならないというのはお分かりになることでしょう。この「亡者の詩」のすばらしいところは、静的な描写の積み重ねで、世界の動きを追っているところです。このような試みは他にも多くの作者様がやられています。
私も、「白亜の城」の地下迷宮でこれをやってみようと思って作りましたが、少し本気度が足りなくていまいちな感じです。

人気のある作品は、これらの要素を折半して、ある時には静的にプレイヤーに責任を負わせ、ある時には自分で世界を導こうと試みます。(ただ、このような半々の感覚は私には少し物足りなく感じるときがあります。もう少し自分勝手に作ってほしい。)

動的な世界は好みが大きく分かれるところです。作者の感覚が完全に発揮されてしまうからです。何でも受け入れてくれる人がプレイヤーなら、言うことないのですが、なかなかそういうわけにもいきません。私も受け入れられない嫌いなシナリオだってあります。それは人間だったら仕方がない。一方、静的な世界は書き足らないと完成度に大きく影響が出てしまう、作業量を必要とされるシナリオです。

動的な世界では作者が自分勝手になりがちなところがあり、逆に静的では肝心な部分までプレイヤー任せで、「おいおい無責任すぎるだろ。ビビらずにかかって来いよ!」と思うことが起こります。

私の見るところでは、静的な世界を完全に体現したシナリオはありません。(私が知らないだけかも。)これはすごく研究しがいのあるジャンルだと思うので、私も余裕があれば一つ作ってみたいと思っていますが、今のところ動的世界に絞って作っているので、手が回りません。動的世界については修正版「匙男」がいい線まで行ったかなという手ごたえがあります。
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コメント

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No title

jimさんこんばんは

このお話はめちゃくちゃ面白いですね……

ここで議題となっているのはカードワースシナリオについてですが、逆に小説とかで静的な物語というのはどういう例があるんだろうかとか、そんなことを考えてしまいました

Re: No title

小説……では無いんじゃないかなぁと思います。小説って物語を書く試みですから。んーでも、日記形式のものとか、書簡型ものは、近いかもしれません。研究報告のようなものとか。

この型は『ゲーム』に良く見られると思うんです。アドベンチャーゲームなどで。

カードワースではこのようにストーリーを壁画のように埋め込んだアドベンチャーはまだまだ研究が進んでいないから、新しい分野としてねらい目だと思うんだけど、誰もやりませんね。もしかしたら私が知らないだけなのかもしれません。

No title

お返事ありがとうございます。

実はあのコメント書いた後で、「ゴーメン・ガースト三部作」という小説を思い出しました。これを書いたマーヴィン・ピークという人は、小説家以外に画家をしていて、そこで培ったものが「ゴーメン・ガースト」には色濃く反映されています。内容はゴーメン・ガーストというちょっと怖い城の細かい描写で埋め尽くされていて、割と静的、なのかな? という感じでした。あまりにも物語の進行が遅いので、読む人を疲れさせる小説です。あまり大衆受けもしてないです。だけどあれだけ「物」のディテールを描き込んだ小説も少ないので、一見する価値はあると思います。

まあ、ああいうのをカードワースでやるとなると、さすがに厳しいかもしれませんが……

Re: No title

ゴーメン・ガーストですか。昔友達に勧められたことがありますが、読んでないですね。読んでみたいです。中世のファンタジーなんですね。google先生に聞いてきました。

描写……は静的だと思いますが、私が考えているのはもう少し大き目の規模の話です。たとえば動的な物語でも、冒険者が探索している城の中にある手記にかかれたものだったら、その手記の存在は静的に出来ます。静的な物語の中に動を入れることも可能なんです。シナリオ作者のSIG様が作られた『シュメリアの遺跡』が私が考えているものに近いかもしれません。

私は『文章を書く』ということに固執してきたから、動の部分がないと納得できません。だから『シュメリアの遺跡』ももう少しラディカルに動の部分があると完璧な静的なシナリオの体現だったと思います。これは、作品の出来が悪いとかそういうことではなくて、私の好みとか、今ここで話している主題に対しての意見です。『シュメリアの遺跡』はとてもよいシナリオだし、遊んで楽しいので、お勧めです。それに、すばらしい完成度ですよ。

366191

SIG氏のシュメリアの遺跡は以前にプレイさせていただいたことがあるのですが、それはかなり昔のことで記憶も曖昧なものになっていたので、再度プレイしてみようと思いました。案の定、ユーティリティから済印を消すのに相当時間を食いました(笑)。

やってみて、自分がかなり致命的な勘違いをしていたことに気がつきました。jimさんのおっしゃる静的な物語の鍵を握っているのは壁に書かれた文字のことでしょうか?

確かにこれはゲームでなければできないものですね。シナリオを突き動かしている動的な部分は、プレイヤーの行動選択そのものであり、それ以外の動的な部分はほぼ存在しない。つまり動的な物語はなくて、静かに語りかけてくる壁に書かれた文字と、それを読むための人さし指のクリックだけが、あのシナリオを形作っている。

感想としては、とても不思議な感じがしました。

jimさんの作品の中では冒険者の宿で がこれに当てはまるでしょうか。特に雨の日はBGMもなくて、雨の音だけで、とても静かで、街の描写に神経を集中させることができる。

また、似たものとしてはcobalt氏の深き淵から での終盤のタペストリーのかけられた部屋があると思います。風景画のタペストリーがいくつか掛けられていて、それをくりっくすると、その風景の描写、および、それによって冒険者の中で生じた心理的作用が語られます。タペストリーという「物体」を置くというアイディアは、とても素晴らしいものだと思いました。

しかしとはいえ、シナリオ全体が静的な物体に支配されているシナリオは、確かに少ないですね。これは使いようによっては、不思議で神秘的な気持ちにさせる作用があり、面白いので、興味が沸きました。

Re: 366191

これを意識的にやっている作者を私は知りません。この分野で一つ作品群を打ち立てたらその作者はすごい評価を得られると思うんだけど、誰もやっていないのが不思議ですね。やはり『何を書くか』ということがまだまだシナリオ作者の主眼にあって、『どう書くか』ということに執着できる人はなかなかいないのでしょう。
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あまり書きたくないんですが、厄介な時代なので。
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