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話の流れについて

カードワースで一番重要なことは、読み手を、つまりプレイヤーを、作者が作った世界に引きずり込むことだと私は考えています。その方法はたくさんあるけれど、一番難しいのは『時間』の問題です。『時間』というのは本当に文字通りの物理的な、1秒2秒という時間のことです。抽象的な意味を含んでいるとかそういうことではありません。
ストーリーにはいろいろな要素があります。まず主題(何を書くか)。それからプロット(どういう経路を辿ってどう書くか)。さらにスタイル(基本的には書き手の視点のこと)。そのほかにもいろいろあります。その中で一番難しいと私が感じるものは『対象との距離のとり方』です。

『対象との距離のとり方』というのは分類するとストーリーテリングの中の一つの要素です。ストーリーテリングというのは『どうやって話すか』という問題ですが、端的に言ってしまうと『物語の速度』の問題だと思ってください。

次の話をします。
『女の人が歩いている。通勤中だ。路に落ち葉が溜まっていて、そこを歩いていったら滑ってこけた。』

例えば、これを彼女がアパートを出て急ぎ足で狭い路地を歩いていくところから書くと、話が長くなります。その日は晴れていてそのぶん寒かったとか、猫が伸びをしていたとか、小学生に挨拶されたとか、新しく買った靴が足に合わなくて靴擦れができて痛いとか書いていくと、割合と際限なく話を長くできます。話す対象と話し手の距離が近いほど、ストーリーは長くなります。

逆に簡単に書くこともできます。次に続くストーリーの中で『ブラウスの袖には土がついていた。彼女は出勤途中に滑って転んだのだ。』と書けばいいわけです。あるいは同僚と喋っているときに彼女の口からそのことを喋らせてもいい。そうすることによって滑って転んだという事件に流れる時間を切り詰めることができます。

物語は短いトリックで簡単に書けばいいというものではありません。また想像力に任せて冗長にだらだら書くこともよくありません。物語にはそれにあった入れ物があるのです。流れる時間もその一つです。物語の半分は、時間でできています。だから書き手は、物語を、ある部分では注目して接近し、ある部分は遠ざかって早送りをして、スムーズに話を流していく必要があります。これが私には難しいのです。

(『トリック』とはカードワースでの表現と考えてください。訳するなら手数。散文なら『文章』と言い換えられるかもしれません。でもカードワースは視覚的にも聴覚的にも広がりが持たせられるし、直接『時間』をウェイトとして注ぎ込むこともできます。そのぶん、簡単なのです。)

距離問題は大まかな時間の操作法です。他にはもっと短い『停止』とか階層構造になるような『膨らまし』とかがあります。(ある、と言っても私がそう名づけているだけなんだけど。)『時間』の操作は読み物シナリオでは非常に難しく、まさに鬼門といってもいいと思います。特に『ゆっくり語る』ことはさらに難しい。探索シナリオではこのことはさほど大きな負担とはなりません。探索シナリオではプレイヤーに操作させれば簡単にその問題をクリアできてしまうからです。

私にとっては探索シナリオのほうが作るのが簡単で、読み物シナリオのほうが段違いに難しいのですが、それはこの『時間』の問題が一番の原因です。
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