読み物シナリオ『匙男』の製作

まずはじめに言っておくと、この記事はシナリオの製作についてまとめたものです。ですから楽しくカードワースをやりたいとだけ思っている人には苦痛だと思います。読まないほうがいいです。この記事は長く、参照する情報も多いので、疲れるかもしれません。プレイオンリーの方でも理解できるようにと考えて書いているつもりなので、製作の知識などは要りません。呼びかけるような文体で書いてあるけれど、特に誰かに向けて書いたものではなく、ただの自分自身に向けたおぼえがきです。前置きは以上です。

さあ、シナリオを製作しましょう。
シナリオがどこから出てくるかというのは面白い問題です。私の場合は、夜中に眠れないときに作ったシナリオが一番上手く出来ているような気がします。苦しんで作ったシナリオよりも、のびのび作ったシナリオのほうがいつもよいと感じます。そういうシナリオは、まるで自分で勝手に組みあがっていくみたいに出来上がるのです。『匙男』はそう簡単には完成しませんでした。だから、私自身は出来には疑問を感じます。ただ、プレイヤーのみんなの意見を聞くと、私の中でそれほど評価の高くないシナリオが面白いと言われるときがかなりあるので、シナリオを評価するということは難しいと感じます。

先日RANPROJECTさんからメールをいただいたのですが、彼(彼ら)はシナリオを題名から考えて作るそうです。『匙男』も私は題名を決めてから作りました。題名を決めてから作った作品は他には『スイミー』と『私には関係のないこと』『地の果て』などです。『匙男』というのはspoonmanのことです。そういう曲があるんです。シナリオ作家のMNSさんが『鏡の山の食人鬼』という作品を作られています。Queenの傑作でオウガバトルというすごい曲があるのですが、私はたぶんこの曲の歌詞から名前を取ったんじゃないかなと睨んでいて、私も自分の好きな曲から何か一品できないかなぁと企んでいました。

ではこちらを見てください。>>別窓で開きます。

すごく恥ずかしいんですが、シナリオの欠けらです。全体像が出来上がっています。『匙男』の完成版と比べると、かなりストーリーが違いますし、話のポイントになる部分も違いますね。

だんだん文章の量が多くなっていくのが分かると思います。これは、ストーリーが広がっていく様子を表しているのですが、あまりにも文章中で広がりすぎるとシナリオに移すことが困難になってしまうので、ここでやめています。シナリオと文章は全く違います。シナリオのほうが文章よりもゆとりがあり幅があります。ゆったりしています。あんまりキッチリ文章を詰めてしまうと自然なシナリオでなくなってしまうという危惧が私にはあり、このときも、書きたかったんだけど、続きはシナリオでやろうと思って、メモだけを残しておきました。このようなメモはたくさんあります。

このメモをもとにシナリオを作っていきました。基本的な構造は『友達と会話をしていて、その中で匙男の話をする』というものなので、いつもどおり最初から書き始めて進んでいきます。『匙男』は他のシナリオと比べるとそれほど作りやすい話ではありませんでした。結構突っかかってくるところが多くて、なかなか波に乗ることが出来ません。で、結局匙男が出てくるところまで書いて、頓挫してしまいました。たくさんある失敗作だな、と考えて、ガラクタ置き場に放り込んでおきました。

そこまで作ったガラクタはどこかへ置いてきてしまいました。もしあればいい資料になると思うのですが、残念。

私のブログを見てくださっている方は分かると思うのですが、このころアウトラインプロセッサを使い始めていました。これは階層化することが出来るメモ帳のようなものです。匙男はもうこれ以上エディタで作ることは難しい状態でした。そこで、こいつを文章に起こしてアウトラインプロセッサで文章として書いてみたらどうなるかな、と私は考えました。つまり、実験ですね。カードワースにはシナリオをメモ帳に起こすSerifPickerというソフトがあります。これを使って、メモ帳に台詞や文を全部書き出して、その続きをアウトラインプロセッサで書くのです。

それで、出来たのがこれです。>>別窓で開きます。 
やっぱり恥ずかしいですが、この文章を見てみます。これはもうメモ書きというよりも完全なシナリオですね。書いてみて分かったことなのですが、私はどうもシナリオの中のリエスという女性をもっとちゃんと書きたい。何ならリエスを中心に書いた物語にしてもいい、と思っているみたいでした。最後の部分は完成版と変わっていません。リエスが暗闇に慄くところで終わりです。これでシナリオのポイントが決まりました。

私はこれまでこんなにきっちり文をつめてからシナリオを作ったことはありません。ある程度遊びの部分があるのがシナリオというものだからです。例えば、フィールド上に窓と本が置いてあったら、プレイヤーはどちらを開いても構いません。でもキッチリした文章というのは窓を先に開かないといけません。窓が開いたその風で本がひらひら捲れなくてはいけなかったりするからです。もちろん逆もありえます。どちらの場合も、同時進行ということはシナリオのようには行かないのです。

では、文章をそのままシナリオに起こすとどうなるか。
>>別窓でダウンロードページが開きます。

このシナリオ、ひどいと思いますよね。どこがひどいのか分かる人はかなりシナリオ作りに慣れた方だと思います。何がひどいのかというと、リズムです。文章のリズムでそのままシナリオに切ってあるので、呼吸があってません。キッチリしすぎて息苦しい。脚本があれば映画が出来るわけでないことは当然です。演出がいります。カードワースの演出はウェイト。この使い方がとにかく肝です。これがうまい人はカードの演出も背景変換の演出もいらないくらいです。

ウェイトでリズムを調整したものがこれです。
>>別窓でダウンロードページが開きます。

さて、形になりました。シナリオ製作としてはこれで終わりです。

あんまりよくないシナリオです。このシナリオのよくないところは何か、考えます。いろいろ意見あると思いますが、私の考えでは、シナリオの軸がぶれているということでした。つまりポイントがよく分からない。また技術的な側面から言っても、書き手の視点が冒険者とリエスとの間でふらふら彷徨っているのが分かります。出だしは冒険者の話なのに、だんだんリエスのほうに視点が引きずられていきます。これは非常に拙い書き方です。

文章が上手い人なら両方を等量に書いていくことも出来なくはないだろうと思います。でも、私にはちょっと難しい。それで、どちらかに寄せてしまうことにしました。どちらに寄せるか。

もし冒険者のほうへ寄せて書いたら、今までの私のシナリオと同じような感覚のものが出来上がったと思います。冒険者の冒険譚になったと思います。『スイミー』のような。でも、今回は登場人物リエスのパワーを信じて、彼女に寄せて書くことにしました。シナリオがだいぶ変形していたからという理由もあります。シナリオのもとになったメモと比べると全く違う話になってしまいました。もしメモの通り書くことが出来ていたなら、そのときは冒険者のシナリオになっていただろうと思います。

描き起こした文章がこれです。>>別窓で開きます。 

私はこのマクラの部分が気に入っています。悪くない。ここからシナリオに戻していきました。演出はもう出来上がっているので手間は全くかかりません。出来上がったものがver2.00『匙男』でした。

以上です。ここまで読んでいただいてありがとうございました。

出来かけ未完成の作品を見られるのはかなり恥ずかしいんですが、ここで書かれていることを理解してもらうには見てもらうことが一番だし、見てもらわないと何を言っているのか分からないだろうと思います。

私はもう文章を書いてシナリオを作るということはしたくないです。疲れるから。今度からはまた今までの製作法に戻って、エディタ内でストーリーを作っていきたいです。もう文章は書きたくない!

-----このおぼえがきは2010/05/22に私「jim」が書きました。
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